皎天舎

《2019年11月27日放送》

SBCラジオ モーニングワイド「ラジオJ」の中で毎月第4水曜日の放送内「Jのコラム」で本の紹介を担当させていただいています。今月の番組内で紹介した3冊の本を改めてピックアップ。

◎書籍情報を記載しますので遠方の方も興味が湧いたら、お近くの書店で探してみてください。


縁YUKARI

著 者  小野寺史宜
発 行  2019年9月
出版社  講談社

人と人との“縁(えん)”が起こす小さな奇跡を描いた5つの物語。

週末には少年スクールでサッカーを教えるリペアショップの店員。
ささいな事で喧嘩して彼氏と別れ自暴自棄になるOL。
離婚し家族と離れ離れの道を歩いている52歳の万年係長のサラリーマン。
女手一つで息子を育てるシングルマザーの主婦。

そんな彼らが日常の中で傷つき、何かを諦めたくなったり逃げ出したくなった時、隣りにいた人のちょっとした一言や態度で救われ希望を抱き明日への力を手にする姿が描かれます。今はむくわれなくても、いつかむくわれるかもしれない。いい事が起きるかもしれない。だから今を頑張って生きていたい、そんな希望が溢れる物語。

誰かの言葉に傷つき、苦しくなる事、ありますよね。
もしかしたら、その相手も傷つき苦しみ、自分と同じく苦しんでいるのかもしれない。
そう思うと自然と心が穏やかに、そして優しくなれる気がします。

大切だけれど忘れてしまいがちな“心の部分”を教えてくれます。


そんな時 隣に詩がいます

著 者  谷川俊太郎+鴻上尚史
発 行  2018年9月
出版社  大和書房

何かに救いを求めたい。背中を押してもらいたい。誰かに分かってもらいたい。でもそのためにどうしたらいいか分からない……。そんな時はこの本がおすすめです。

数多くの言葉を生み出してきた谷川俊太郎の詩の中から、劇作家・小説家などマルチに活躍する著者がおすすめをセレクトした1冊。

「さみしくてたまらなくなったら」
「愛されたら」
「大切な人をなくしたら」
「生きるパワーがほしくなったら」

などなど、12の気分に合わせた約100篇の詩を紹介。

「患者である読者の症状を聞いて、谷川先生の作ったクスリを処方するという大切な役目を担った」とまえがきで著者が語るよう、その時の気持ちに合わせた詩を選び読む事ができるので、腹にストンと落ちやすく素早く心に効いてきます。

詩ってちょっとハードルが高いかも……興味はあるけどなかなか手を出しにくい……そんな方でも肩ひじ張らず言葉を愉しめます。
落ち込んだり助けが欲しいなっていう時はもちろんですが、今日の気分で朝一つの詩と巡り合ってから一日を過ごす、なんてもいいかもしれません。


LIttle tree

 作   駒形克己
発 行  2008年
出版社  ONE STROKE

誰にも気づかれず姿を現した一本の木。小さな存在だった木が幾度も季節を超えて成長し、たくさんの動物や人々の営みに寄り添います。やがて新しい季節を迎えた時、その木は姿を消すのですが……。

居なくなった時に初めて気づくその存在の尊さ、そして生命の力強さを教えてくれるしかけ絵本。1本の木が芽を出し春夏秋冬と色形を変え成長していく姿を表す仕掛けは、とてもシンプルです。それなのに伝わってくる命の大切さや生命の力強さに、言葉では言い表せない感動を覚えます。
2014年に初めてこの本と出会い、自分の手でページをめくった時の感動は今でも忘れません。

ぜひ、この感動をみなさんも体感してみてください。

12月14日〜24日まで店舗奥のギャラリーで開催する「第10回とびだす絵本展」でも展示販売します。その他の駒形克己作品をはじめ多数のしかけ絵本を集めた展示です。
ぜひ遊びに来てください。