《2020年1月29日放送》
SBCラジオ モーニングワイド「ラジオJ」の中で毎月第4水曜日の放送内「Jのコラム」で本の紹介を担当させていただいています。今月の番組内で紹介した3冊の本を改めてピックアップ。
◎書籍情報を記載しますので遠方の方も興味が湧いたら、お近くの書店で探してみてください。
キッドの運命
著 者 中島京子
発 行 2019年12月
出版社 集英社
直木賞作家が送る6編の短編を収めた近未来小説。
30年後の未来、あなたはどこにいて何をしていますか?
30年後、2度の原発事故に見舞われた日本という国家は消滅し、日本語を話す最後の一人も姿を消します。温暖化を阻止するため人々は夜8時から12時間強制的に眠らされ、仕事は人工知能に任せ働く事は絶対ではなく“引きこもり”も当たり前となります。また妊娠は女性だけのものではなく、人工子宮を移植し男性も妊娠する事が可能となり、さらには安楽死を自由にチョイスする権利も人類に与えらているのです。
そういった今とは違うシステムの中で近未来の人類たちの、ヒトとしての在り方を描き、問います。
あくまでもフィクションであり、小説です。でもどのストーリーも、今我々が抱える温暖化やAI、ゲノム操作、人工授精などの問題が根底に有り、それぞれの問題解決の糸口として、こういった発展もあり得るのかもしれません。
無さそうで有りそうで、でも意表を突く展開に心がざわつきながらも読む手が止まりません。
皆さんはこれを空想だと思いますか?それともリアルに感じますか?
みちこさん英語をやりなおす
著 者 益田ミリ
発 行 2014年2月
出版社 ミシマ社
新年を迎えると同時に、目標や抱負を胸に抱く人も少なくないですよね。私もその一人で、目標のひとつにいつも候補として挙がるのが「英語」です。英語が話せたら便利でしょ!話せないより話せる方がいいに決まってる!そう思いながらも、参考書を片手にどこから手をつけていいのか分からず、またいつかキッカケがあったらね……と自分に言い聞かせてしまうのも、これまた「英語」なんです。
こういう人結構いるんじゃないかなぁ。そんな時、おすすめしたいのがこの本(マンガ)。
主婦となり母となったみち子さんは、英語を一から学び直そうと一念発起。家庭教師について学び始めるも、どうにも小さいところでつまづいて全然前に進みません。aのつく名詞とtheのつく名詞の違いは?is・am・areってなんでいちいち分けるの?学生時代から授業で習っていたけれど、当時は分かっていないのになんとなく分かった“フリ”をしていたがゆえに全然身についていなかったという事に気付きます。それではダメだと、分からない事は分かるまで先生ととことん話す!と心に決め英語に立ち向かいます。
授業やテストに追われない大人だからこそ、自分のペースでしかも徹底的に学ぶ事ができる。そう思うと、肩ひじはらずに目標に向かえそうな気がしてきませんか?
わたしだけのものがたり
作・絵 パメラ・ザガレンスキー
訳 木坂涼
発 行 2017年2月
出版社 フレーベル館
本が大好きなエミリー。学校の先生から借りた本を家に持って帰る途中、中の「言葉」を全部落としてしまいます。家に帰ってワクワクしながら本をめくるけれど、当然中には絵だけで「言葉」はなく。がっかりしているエミリーにどこからともなく聞こえてきたのは「だったらあなたが想像してお話しを作ればいい!」という謎の声。最初はうまくいかないけれど、次第に想像する事の楽しさを覚え……。
エミリーの想像の世界を一層引き立てる絵が本当に素敵で、想像する事の楽しさ、大切さを教えてくれるとてもワクワクする絵本です。