皎天舎

《愛とは、》

この日に限ったことではないけれど。

バレンタインデーにチョコレートを渡して愛の告白をする、そんな必要あるのか?
そもそもこの習慣、日本ではチョコレートメーカーと百貨店、広告代理店が仕掛けた販売戦略だったように思います。バブルの時代の残り香がぷんぷん漂う。ボージョレーヌーボーの解禁日みたいに。ホワイトデーだって日本が生んだ発明のようなものでしょう。


では欧米ではどんな日でしょうか。
聖ウァレンティヌス(テルニのバレンタイン)に由来する記念日で、バレンタインは「愛しい人」を意味し、キリスト教では恋人や家族など大切な人に贈り物をすることが習わしとなっています。そう、シングルがアタックするのではなく、カップルや家族の中で祝う日なんですね。

日本式の「一年に一度、女性から愛を打ち明けて良い日」といった特別な日は、奥ゆかしい日本人女性にとって世間の目を気にせず告白ができるといった晴れの日だったに違いありません。それはそれで良いではありませんか。カップルは二人でいればハッピーなんだし、独り身の寂しい夜に夢と希望を与えたこの風習、案外ステキだと思いませんか。この日に限って、という制約もちょっとしたギャンブル性を含んでいて熱が入ります。クラス中が浮足だっていた思い出も微笑ましい。
いまで考えれば女性だっていつでも愛を打ち明けて良いわけで、何もこの日に気合を入れる必要もないのですが、浮ついた世間をよそ目に、愛に向き合うことも必要です。

愛のカタチは、義理と本命だけじゃない。

「文化をつくるのは、いつだって新しい価値観の持ち主だ」
これはバレンタインデーにチョコレートではなく、カップうどんを贈ろうとキャンペーンをはった食品会社のキャッチコピーですが、愛のカタチは義理と本命だけじゃないように、贈るものがチョコレートやクッキー以外でもいいじゃない。愛読家であれば、あの人を想い本を選んではいかがでしょうか。

愛のカタチが無限にあるように、愛について書かれた書物もたくさんあります。純粋な愛情や愛の分析、愛を通り越した憎しみ。どれも人が人を想う中で生まれ育まれた感情です。バレンタインデーからホワイトデーまで。いいんです。愛にどっぷりと浸かり、溺れても。


(……3月に収穫するなら、2月に種まきです。)

どれだけ想ったら、愛なんだろう。

「愛とは、」
場 所:書肆 朝陽館
期 間:2023年2月2日(木)〜3月13日(月)
時 間:11:00〜19:00
定休日:毎週 火・水曜日