皎天舎

《2019年5月22日放送》

SBCラジオ モーニングワイド「ラジオJ」の中で毎月第4水曜日の放送内「Jのコラム」で本の紹介を担当させていただいています。今月の番組内で紹介した3冊の本を改めてピックアップ。

◎書籍情報を記載しますので遠方の方も興味が湧いたら、お近くの書店で探してみてください。


木曜日の子ども

著者  重松清
発行  2019年1月
出版社 KADOKAWA

7年前、旭ヶ丘の中学校で起こった無差別毒殺事件。
9人が死亡し21人が入院するという多くの被害者を出したこの事件の犯人は
クラスメイトの少年「上田祐太郎」。彼はすぐに捕まり少年院へと送られます。

その7年後。
主人公の清水が、妻と妻の連れ子である14歳の晴彦との3人で
旭ヶ丘に越してきた所から物語は始まります。

清水は、前の学校でいじめられ自殺未遂をした晴彦と
本当の家族になろうと力を注ぎます。
しかし晴彦との距離は思うように縮まらず苦悶する日々を過ごします。

そんな中、晴彦と7年前の毒殺事件を起こした上田祐太郎が
似ているという噂が広まります。
同じくして少年院に入っていた上田が社会に復帰しているという噂を耳にし、
清水は嫌な胸騒ぎを感じはじめます。
その胸騒ぎを肯定するかのように、旭ヶ丘では不審者目撃情報、飼い犬変死事件、
学校への脅迫状など、奇妙な事件が起こりはじめ……。

息子を信じたいと願いつつも、状況がそれを許さない。
真実に立ち向かった時見えてきたものとは。


料理が苦痛だ

著者   アン・ウォームズリー
訳者   本田理恵子
発行  2018年11月
出版社 自由国民社

毎日ご飯を作り続けていると、
思う事いっぱいあるんです。

よし、がんばろう!って気合い入れて作っても
流れ作業のように、無言でテレビを見ながら料理を口に
運んでいる家族の姿を見ると、何とも虚しい気持ちになったり。

「今日、何食べたい?」
『何でもいいよ』
「……」
何か言ってもらえたらどんなに楽か!って思ったり。

あの人のSNSにはいつも手のこんだ料理の画像。
それなのに私は……って自己嫌悪に陥ったり。

こういうのが積み重なっていくと、
「今日は作りたくないなぁ」って思う事あるんです。
でもやらないといけないっていう義務感で自分を追い込んで
しぶしぶやるんです。
そういう人、きっと少なくないと思うんです。

そんな時、ちょっと休んでもいいんじゃない?と
背中を押してくれるのがこの本。

自宅のカフェや主催している料理教室で、
料理をひたすら作り続けている著者だからこそ伝えられる
料理をすることの苦痛をやわらげる方法を紹介します。

料理・食事は、生活の中で必ずある大切な時間。
作る側も食べる側も、充実した幸せな時間を過ごせるヒントが
たくさんつまった一冊です。


ウエズレーの国

 作  ポール・フライシュマン
 絵  ケビン・ホークス
発行  1999年7月
出版社 あすなろ書房

周りと違くたっていいじゃない。

発明が大好きなウエズレー。
みんなが好きなピザもコーラもきらいだし、
サッカーもしない。
髪型だって他の子たちとは全然ちがう。

だから、ウエズレーには友達がいません。

そんなウエズレーは夏休みの自由研究に
自分だけの“文明”を作ろう!と思いつきます。
なんだって発明しちゃうウエズレーは
新種の植物の種を発明し、自分の家の庭にまきます。
するとその植物は大きな花を咲かせ、たくさんの実をつけます。
その植物を利用して食料や洋服に住む所、
「ウエズレー語」まで作ってしまい、
誰も見た事がないウエズレーの国が出来上がるのです。

最初は遠くから眺めているだけだった周りの子どもたちも
次第に一緒に手伝うようになりウエズレーの周りに友達たちがどんどんと増え……

人と違くたって構わない。
自分が好きならそれでいいじゃない。
誰かと合わせる必要はないかもしれないよ?

そんなことを優しく教えてくれる絵本。

他の子とはちょっと違う我が子を、
心配しながらも暖かく見守る親の目線にも、
心があたたかくなります。