皎天舎

《2019年3月27日放送》

SBCラジオ モーニングワイド「ラジオJ」の中で毎月第4水曜日の放送内「Jのコラム」で本の紹介を担当させていただいています。今月の番組内で紹介した3冊の本を改めてピックアップ。

◎書籍情報を記載しますので遠方の方も興味が湧いたら、お近くの書店で探してみてください。


緑のなかで

著者  椰月美智子
発行  2018年9月
出版社 光文社

北の大地で大学生活を送る少年の成長していく姿を描いた青春群像劇。

春夏秋冬と季節ごとに景色を変える緑に覆われた「緑旺寮」。
そこで寮生活を送り、寮の自治活動や学生サークル、部活、アルバイトと、忙しく日々を過ごす啓介は、特に趣味もなく、いたって普通で真面目のメガネ男子。(もちろん彼女もいた事ない!)
それでも魅力的な仲間とともに学園生活を謳歌している啓太のもとに、双子の弟、絢太から「母親が失踪した」と連絡が入ります。ちょっとぬけてて感動屋で、それでもしっかりと家族と家を守ってきた母親に一体なにがあったのか。
自分より絢太を可愛がっていた母親に対する葛藤や、家族の在り方、友達や将来への不安、様々な感情を抱きつつも仲間に支えられながら一人の少年が大人へと向かう、青春の1ページを切り取ったようなみずみずしい小説。

登場人物全員が生き生きとそこに存在していて、目を閉じるとその情景が目に浮かび、まるで自分もそこに居てともに喜び、苦しみ、悩み、そしてその答えを見つけようとしているかのような、あの感覚を思い起こさせてくれます。

キラキラしていて眩しく、一生懸命。
でもどこか切ない、忘れかけていたあの頃を思い出します。


プリズン・ブック・クラブ 〜コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年〜

著者   アン・ウォームズリー
訳者   向井和美
発行  2016年9月
出版社 紀伊國屋書店

カナダで記者をしている著者が参加した、
刑務所で行われている読書会の記録をつづった一冊。

罪を犯し刑に服している人々が集まる読書会。
どこか違和感や複雑に感じる人もいるはずです。
以前ロンドンで強盗に襲われた経験を持つ著者もそうでした。
最初は恐怖と不安を抱きながらの参加でしたが、
受刑者たちの読書に対する真摯な態度や、
一人ひとりから発せられる言葉の重みに触れるうちに、
次第にその会に魅せられます。

もちろん読書会のメンバーには
真面目に本と向き合う者だけではなく、
本を最後まで読まずに参加する者、
ご褒美のクッキーを目当てに参加する者、
点数稼ぎを目的に参加する者などさまざまです。
より多くの受刑者に本の面白さを知ってもらいたいと著者たちは趣向を凝らします。その甲斐あってか、出所後本に携わる仕事に就きたいと願うメンバーや、他の施設に移ったあとも、自ら読書会を主催するメンバーも出てきます。

読書に目覚めていく受刑者たち。読書は人間にどんな効果をもたらすのか。

彼らが罪を償い再び社会に出たとき、人や社会との関わり方を本を通して学んでいく姿は私たちに改めて読書の楽しさや大切さを教えてくれます。


しごとば

著者  鈴木のりたけ
発行  2009年3月
出版社 ブロンズ新社

そこに入ると、誘導されるがまま椅子に座り
横に倒され大きく口を開けて、奇妙な音を聞きながら
あとはされるがまま……。

そう、そこは歯医者。

いつも疑問に思っていました。
一体そこにはどんな機械があって、何をしているのか?
口に入れられた、あのグニャっとした物質は何なのか?

そうした疑問にこの絵本がお答えします。歯医者に限らずあらゆる職種について。今回紹介するのは、5巻まで出版されている人気シリーズの第1作目。美容師、新幹線運転士、すし職人、自動車整備士、木のおもちゃ職人、革職人、歯医者、パティシエ、グラフィックデザイナーと、9つの仕事場を案内します。

知りたかったのに知らなかった仕事場の風景や仕事内容が詳しい絵と愉快な解説文で紹介されていて、子供から大人まで楽しめる絵本。見るたびに新しい発見があります。お子さんへのプレゼントとして入手すると、自身が一番読んでいる事態をまねきがちな絵本です。