皎天舎

《2021年12月21日放送》

SBCラジオ モーニングワイド「ラジオJ」の中で毎月第3火曜日の放送内「Jのコラム」で本の紹介を担当させていただいています。今月の番組内で紹介した2冊の本を改めてピックアップ。

◎書籍情報を記載しますので遠方の方も興味が湧いたら、お近くの書店で探してみてください。


らんたん

著 者  柚木麻子
発 行  2021年11月
出版社  小学館

東京多摩市にある恵泉女学園の創設者である河合道。
道を中心に明治から昭和戦後期までの教育界・文学界を懸命に生きた女性たちの力強い息吹を感じる物語。

大正最後の年、かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児がプロポーズした相手、渡辺ゆり。プロポーズに対するゆりの答えはシスターフッドの契りを結ぶある女性と3人で暮らすことができるならば、という条件付きのもの。その女性こそが恵泉女学園の創設者であり、激動の時代にもかかわらず、女性が学ぶ場事の大切さを訴え続けた女性、河合道でした。

伊勢神宮の神職に就く父を持つ道でしたが、明治維新により父親が失職し、家族総出で北海道に移り住むことに。そこでキリスト教に基づいた教育を受けた道は、初めて教育の大切さを知り、アメリカへの留学を決意し教育者としての道を歩んでいきます。
本作では新渡戸稲造、津田梅子、平塚らいてう、野口英世、村岡花子など歴史に名を残した錚々たる顔ぶれとの交流も描かれ、読むものを惹きつけて止みません。
誰もが平等に教育を受けられるべきだと学校設立を夢見る道は、誰に媚びるでも諛うでもなく夢に向かって突き進みます。良し悪しがはっきりしていて、それこそ言い争いも頻繁で、当時の日本のあり方を想像すると、恐らく重宝されたり可愛がられたりするタイプではなかったように思います。そんな中でも信念を曲げる事なく、目的に向かって突き進む姿は私たちに力を与えてくれるとともに、女性がどのように社会的地位を築き居場所を作ってきたのか、またその事による苦悩や葛藤はどれほどだったのかと思いを巡らせずにはいられません。

100年前の日本では、光は自分の足元を照らすためのものでしたが、欧米では街灯によって光を人々にシェアする事が当たり前だったそうです。今、私たちが当たり前のように受けている教育ですが、ここに至るまでにあった先人たちの思いや苦労があったからこそ、教育という光が私たちにシェアされているのだと、改めて胸に刻んだ一冊でした。


LOVE〜いつでもあなたを想っています〜

 作   ロバート・サブダ
発 行  2021年1月
出版社  大日本絵画

仕掛け絵本の名手ロバート・サブダが贈る、たくさんの愛が溢れた絵本。

「愛しています」という言葉とともに描かれる、6つの愛の風景。
お腹を空かせて巣で待っている雛鳥にエサを与える親鳥。
雨に濡れている仲間にそっと葉っぱの傘をさしてあげる仲間のゾウ。
高い雪山を必死に登るシロクマを応援する仲間たち。

イソギンチャクを背にしょって互いに助け合うカニ。
少ない木の実を仲間たちと仲良く分け合うリス。
湖でそっと頭を寄せあい、愛を語り合う白鳥。

LOVE……
それは男女だけに許された言葉ではありません。
親子の愛、友達への愛、会社のみんなへの愛、会ったことはないけれどお世話になったあの人への愛……。愛には様々な形があって、そんな愛の形が精巧な仕掛けで表現されていろこの絵本は、見ているだけでほっこり心があったかくなります。

大切なあの人への贈り物として、もちろんクリスマスプレゼントにもおすすめ☆