皎天舎

マトハズレだなんて言わないで

芥川賞や直木賞など、国内外には数多くの文学賞があります。近年では書店員が選ぶ本屋大賞もよく知られています。年に二回発表されるものもあれば、年に一回のものなど、賞の形体やジャンル、選考方法など様々。しかし、これらの文学賞、多くの人は発表のあった日のニュースや、翌日の新聞で受賞作をみなさんは知るのではないでしょうか。特に話題性の高い作品は情報のうねりとなって社会現象にまで広がることもあります。ところが多くの場合、日々溢れるニュースに埋もれる形で受賞作でさえ日に日に忘れられていくことになりますが、それ以前に最終選考に残った候補の文学作品が報道などで注目されることはあまりないように思います。

その年の、その文学賞で評価された作品は受賞作一作品とは限りません。最終候補となった作品は受賞しなかったからといって面白くないわけではありません。少なくとも数多くある作品の中から選ばれているだけあって秀作揃いです。厳正な審査があるとはいえ選ぶ審査員も人の子、際限のない文学の世界で、選ばれたその作品があなたにフィットするとも限りません。的の外には限りなく広がる文学の世界があなたとの出会いを待ちわびています。もう一度、今年各賞で注目された作品を振り返ってみましょう。

年間約8万点の書物が発売される中で、自分にあった面白い作品を探すのは至難の技なのかもしれません。数多くの本を読んでこそ自分にとっての面白い本を知っていくからです。読書家には自分にあった書物を嗅ぎ分ける嗅覚が育ちます。的のそとには数多くの書物が存在しますが、的のそばには面白さを保証された書物が集まっています。あなたの嗅覚を鍛えるのに一役買ってくれるはずです。

本を読んでみようと思う、そんな普段あまり本を読まない方が選ぶのにも最適です。年末年始もありますしゆっくり本を開いてみてはいかがでしょう。