美しく良質で豊かな暮しのために
『トト姉ちゃん』のモデルにもなった暮しの手帖社。こちらが出版する雑誌「暮しの手帖」が100号を迎えました。第4世紀とあるのは、100号を1世紀と数えるから。つまり戦後に創刊され、この70年間で400号目となるのです。『トト姉ちゃん』でも商品テストを厳正に行なっていたエピソードが記憶に新しいのですが、そのために自社以外の広告を掲載しないことも有名な同社。徹底した読者目線で消費者に寄り添った紙面づくり。しかしそれは雑誌の購入者に媚びるものではありません。創刊当時の雑誌名は、「美しい・暮しの手帖」でした。戦争で傷ついた人々が、美しい生活を取り戻し、さらに豊かな暮しができるように。その願いをもとに制作された紙面は、分かりやすい写真や記事のみならず、読み応えも十分な内容です。そして、次号からは第5世紀1号として新たな時代の船出となります。時代とともに変化しつつ生活者の視点で雑誌を創り続けること。こうして文化が形作られるのだと思います。
朝陽館では、毎号紙面で書籍を紹介する「本屋さんに出かけて編集部員が見つけた本」コーナーを展開。書籍情報や看板イラストなどを暮しの手帖社のご厚意により提供を受けています。今回もノベルティなど協力いただき、暮しの手帖社の書籍を集めました。
読者に寄り添う書店でありたい。私たちの気持ちも同じです。
暮しの手帖社の原点
『暮しの手帖』刊行にあたっては、大橋鎭子と花森安治のそれぞれに思いがありまし た。大橋は戦争中、防空壕のなかで、自分が見たい、知りたいと思うことを本にすれば、 戦争で学校にも満足に行けなかった多くの女性たちに喜んでもらえるだろう、と考えていました。また花森は、戦争への反省から、一人ひとりが自分の暮らしを大切にすることを通じて、戦争のない平和な世の中にしたいと考えていました。そんな二人が毎日の生活を少しでも豊かで美しくするために、手作り家具や直線裁ちの服などを提案していこうと一致し、創刊しました。
経済成長とともに物が出回り始めると、どれが役に立つ商品かを広く消費者に伝え、また本当に良いものをメーカーに製造してもらうためにも、商品テストを実施。生活者の立場に立った実証主義のテストは高く評価され、多くの読者の支持を得ました。 (同社ウエブサイトより)