皎天舎

本をつくるとき、本の仕上がりやイメージを掴むために、本製品と同じ紙を使用し、本番と同じ製法でサンプルを作ります。このサンプルのことを『束見本』といいます。

「束」とは本の厚みのことですが、ページ数、表紙、見返し、本文、口絵、扉など本番と同じように作るため、寸法や重さを正確に把握することができます。印刷工程の前に作製するので、通常は印刷していないまっ白の紙で作られます。


また、一言で装幀と言っても、その方法や形式はさまざま。本が好きな人なら、本の美しさや作りの良さを手にしたときに感じているかもしれません。本の製造に携わる人たちの熱量がこもった装幀。壊れにくく、開きやすく、手に馴染みやすく、そして、美しく。そうした装幀家やデザイナーのこだわり、造本職人の妙技を束見本とともに紹介します。

そして、一口に本と言っても、各部に名称があります。
その名称を知っておくと、気になった本の構造やパーツの違い、面白さを細かく見ていくことができるでしょう。

本がどのように作られるのかもおさらいしておきましょう。
基本的には、印刷した紙を折り、重ね、綴じて、切る。この流れです。

フェア開催中、店内ではこうしたパネルに加え、各装幀の「束見本」も展示しています。実際に手にとってご覧いただけます。そのほか、さまざまな装幀の本や凝ったデザインの本を集め販売いたします。本の構造に面白さを発見し、装幀家やブックデザイナーがその本に込める熱意、そして、それを実現する製本スタッフの職人魂を感じてください。


普段目にすることのない真っ白な束見本。
始まりはいつも、まっ白な「束見本」から。
全ての物語の舞台。それが「つかみほん」です。

今回の企画は、長野で装幀を手掛ける製本会社「渋谷文泉閣」さんにご協力いただき開催します。束見本や資料のご提供、装幀に必要な道具類の貸し出しなど、力強いバックアップをいただきました。
渋谷文泉閣は、さまざまな製本を手がけていらっしゃいますが、製本に限らず、表紙や箔押しなどの加工も自社で行え、製本における一貫生産を可能としています。本を作る上でなんでも相談できる心強い会社です。また、並製本の革命的製本である「クータ・バインディング」を開発し特許を保持されていますが、常に新しい製本を目指し高品質の製本を行う会社です。私たちも工場を見学させていただきましたが、生産ラインの高効率、高品質に目を丸くし、ただひたすら唖然、といった具合でした。
そうした中でも、昔ながらの上製本の工程では、立ち並ぶ機械のメンテナンスを含め、随所に職人技が光ります。本が好きな人ならゾクゾクするような、本当に見ていて飽きのこない、楽しい世界が広がっていました。本を作る人たちと、本を人に紹介する私たち。同じラインを歩いているように思います。


渋谷文泉閣

渋谷文泉閣のホームページリニューアルを機に、渋谷文泉閣の社長・渋谷鎮様と対談させていただきました。こちらは渋谷文泉閣のホームページでダイジェスト版、YouTubeでフルバージョンをご覧いただけます。
許可をいただきましたのでダイジェスト版をこちらでも公開いたします。新しくなった渋谷文泉閣のホームページも是非ご覧ください。本について詳しく知ると、ますます本が好きになってしまいます。

◉ダイジェスト版
https://www.bunsenkaku.co.jp/company/philosophy/

◉フルバージョン
https://youtu.be/4-Z8w1AJqQA

本を作るものと紹介していくものが、本のあり方、本の未来について語り合います。

開催期間:2022年10月1日(土)ー12月25日(日)
好評につき期間延長しました。