皎天舎

よるが少しづつ長くなる。ひにひに深くなる。
ふっと力を抜くと、それに呼応するように熱が放たれ、
この星が冷めていく。

「夜長」とは、俳句の世界では秋の季語なのだそう。
なので、秋の夜長といえば、「あきのあき」みたいなもの。
なんだかとっても気持ちよさそうではありませんか。
酷暑と呼ばれた夏が過ぎ去り、過ごしやすい夜が訪れてきました。
しかし、油断は禁物です。
なんてったって長野の秋は短く、注意深く秋を取り込まないと、
すぐに冬がやってくるのですから。


食欲の秋、紅葉の秋、そして、読書の秋。

せっかく心地よく過ごせる夜の時間が長いのですから、
ゆっくり本と向き合ってはいかがでしょうか。活字を追いながら、言葉が表現する世界のイメージを広げ、存分に没頭してください。

知識欲は満たされ、喜びは膨張し、寂しさは薄れ、悲しみに共感し、もちろんお腹はすき、そうして、夜がしだいに膨らんでいきます。夜更かしして夜の膨らみに耳を傾ければ、闇夜から聞こえてくる鈴虫の大合唱のように、さまざまな感情が時空を埋めつくすことでしょう。

皎天の時間、それは至福の時間です。

書肆 朝陽館では、秋の夜長にぴったりな本が集まっています。
夜を過ごすお供にいかがでしょうか。

「よるのふくらみ」開催期間:2022.9.1-2022.10.10